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麻痺性斜視について

末梢血管性(高血圧、糖尿病)、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷などにより後天性に生じた 麻痺性斜視は、複視のため日常生活に不自由を来しています。複視とは、見ようとするものが2つに見えることを言います。元々両眼を使う働きを獲得できていた人は、小児でも大人でも、突然斜視が起こると2つに見え始めます。斜視の状態によって、横に2つだったり、縦に2つ、斜めに2つ、または傾いてみえるなど、様々な状態があります。
屈折異常など、例えば乱視の未矯正による2つに見える状態との区別が大切で、眼鏡をかけた状態で複視の状態を確認していきます。また、一つに見える(両眼の位置があっている場所があるのか、ないのか、両眼を使える状態が弱いのか)ということを評価します。そのため、眼鏡やプリズムによる光学的視能矯正と同時に、従来の両眼視機能を回復させるための視能訓練として両眼視機能訓練、眼球運動訓練の適応を評価し、視能訓練を施行します。当院では、外来での訓練とともに家庭訓練を指導しております。
早期の社会復帰、日常生活の不自由さの回復を目指すため、積極的に視能訓練を行っています。長期の複視に悩まれている方は、ぜひご相談くださいませ。

プリズム療法

眼鏡レンズ度数にそのまま組み込むタイプの組み込みプリズムと眼鏡に貼りつけるタイプのフレネル膜プリズムがあります。発症初期や眼位の変化しやすい時、矯正角度が大きい時などは、度数変更がしやすい膜プリズムを使用することが多いです。各々、見かけ上も異なりますので、患者さまの生活状態に合った方法を選択しています。視能訓練と併用することにより、プリズム度数を漸減していくことを目指しています。

視能訓練(家庭訓練を中心に)

プリズム療法併用とともに、衝動性眼球運動訓練、輻湊訓練、融像訓練を行います。これらの視能訓練は、麻痺筋の拮抗筋(麻痺筋と反対作用の筋)の痙縮(けいしゅく)を予防するために発症早期から施行することで、自然治癒を促すことが報告されています。融像訓練は、融像の安定と、一つに見える範囲である融像域(融像野、両眼単一視野、fusional area ともいわれます)を広げる訓練です。

外来で訓練効果を確かめた後に、家庭訓練に移行していきます。訓練期間は、定期的な受診が必要です。視能訓練には適応の有無がありますので、ご相談ください。

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